2019.07.16 Tue.

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  みんな電力は今年2019年3月から、世田谷区の三軒茶屋に拠点を置いています。
 2年ほど前に世田谷区役所からの紹介でみんな電力とご契約なさった、近所にお住まいの豊田キヨ子さんと木村敏行さんをお招きし、みんな電力・鎌田京子も加わって、再生可能エネルギー(以下、本文中では「再エネ」)を選んだ理由などをお喋りしました。
 日本においては本来、「再生可能エネルギー」は「FIT(Feed In Tariff)電気」と呼ばれるものの中に含まれます。その点を今回のゲストお2人にも説明した上で、この鼎談ではFIT電気と再生可能エネルギーを合わせて「再生可能エネルギー」と表現しています。
再生可能エネルギーを選んだ理由
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鎌田 再エネを選んだ理由をお聞きしたいのですが、豊田さんの場合はあまり電気を使っていないので料金が少し高くなってしまったかもしれませんが(*使用量等によって安くなる場合もあります)、それでも再エネを選んだ理由をお聞かせいただけますか?
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豊田 キヨ子/せたがや教育フォーラム代表。太子堂2・3丁目地区まちづくり協議会メンバー

豊田 高くなるって聞いてたけど、高くなったって気がしないわよ。節電する習慣が身についているからかしら。
木村 「再エネなので少し高い」って言いますけど、“価値があるものは少し高くなる”ことは当たり前。2倍、3倍なら問題あるけど、許容範囲の中で少し高くなるくらいだから、そんなに困るほど高くなっていない。再エネを使っているという “安心感”を買えるのであれば「そんなに高くないぞ」と思います。
豊田 電気はね、節約しながら使わなければいけないと思うの。電気ってみんなで使うモノでしょう?限りあるモノを、やたらと自分だけ使うというのはよろしくないと思うのよ。
 数年前に大きな地震の後、電気の使用制限があったでしょう?「何々区にお住まいの方は、何時〜何時はあまり電気使わないようにしてください」というような。その時、「電気は限りあるモノなんだ」ってことを実感したの。つまり、自分が節電しなければ困る人が出てきちゃうって思っちゃったわけ。電気は限りあるものなので、貴重なモノとして使いたいですね。
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再生可能エネルギーにした生活
鎌田 数年前にあった大きな地震の直後は、テレビで悲しい映像がたくさん流れました。私の場合はしばらくの間、電気をつける瞬間にフラッシュバックのようにその映像を思い出すようになってしまって、自分が使う電気をつくるために犠牲になってしまっている人々のことを思うと心が痛みました。
 今、私が契約しているみんな電力では「顔の見えるでんき」ということを謳っているので、電気をつける瞬間は、発電所オーナーのお顔を思い出します。電力契約を切り替えたことによって、気持ちの良い生活になったなと思います。
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                   木村 敏行/放送業界に音声照明として30年以上勤務(NHKスペシャル100本以上担当)

木村 電気の契約を切り替えるって言っても、電気に色が付いているわけではないし、同じ電気が流れるわけだし、要は気分の問題ってことになりますよね。実際に切り替えてみて、電気を使うことに抵抗感や罪の意識を持たなくてもよい生活ができるようになって、安心できて嬉しい感じがします。
豊田 「安心して生活できるようにする」ってことが、生活の基本ですものね。電気代については、「切り替えた後に料金は高くなる」って聞いていたので気を付けて使っていたら、私の場合は安くなったのよね。
木村 自分で「再エネを選択している」という誇りを持つことができているので、たとえ電気代が多少高くなっていても、電気のスイッチをパチッと入れると「これは自分が選択した電気なんだ」と思えます。
鎌田 みんな電力と契約すると「顔の見えるでんき」ということで、たくさんある発電所の中から応援する発電所を選ぶことができるようになっています。そうすることで、基本料金の中から100円が応援金として選んだ発電所に届きます。今後はブロックチェーン技術を利用して個人宅でも選んだ発電所の電気が使えるようになることを目指しています。
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再生可能エネルギーの社会に期待すること
豊田 私が生きてきた時代を振り返ってみると、一時期アメリカからいろんなものが入ってきて、「何でも捨てていいんだよ」という風潮がありました。そういう大量生産・大量消費の時代もあったけど、最近やっと「モノを大事にする気持ちがみんなに出てきたのかなぁ」と思うのよ。
 自分自身だけではなくて、この時代に住んでいる人と、これから先に住む人たちが、いただいたものを受け取って、また次の世代に渡す、そのつながりを大事にしていくってこと― 先祖からもらったモノを大事に使えば、もっともっと無駄なモノを省けるのよ。
木村 モノを大事になるべく長く使い続けることこそがエコだと思います。大量生産・大量消費で本当に必要な量よりも余計にモノをつくり続けるので、例えば食品ロスなどが発生してしまっているのです。
鎌田 大量生産するために機械で化学的な手法によって必要な量よりも多めにモノをつくっておくとロスが出ることは当たり前ということですね。電気についても同じで、一時期大手電力会社さんでは原子力でつくった電気を夜間でも供給し続けなければならず大変お安い料金になさっていたこともありました、、
木村 電気は溜めておくことができないんですよね、、
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                      鎌田 京子/2016年9月より、みんな電力株式会社に勤務

鎌田 みんな電力の電源構成は約75%が再エネで昼間でも夜間でも同じ料金です。主に太陽光なので、発電するための火力燃料に頼っていないんですよ。ですので、大手電力会社さんの請求明細にある「燃料調整費」というのが無いんですね。
 「燃料調整費」というのは、火力燃料費用の輸入価格の変動を調整する単価なので、みんな電力にはそれが無いのです。その代わり「みんなワリ」という制度があります。
 それは、みんな電力が市場から電気を買うときに見込みよりも安く買えたら、その浮いた分をみんなでワリカンして、みんな少しずつ安くなろう、あるいは、もし高く買わなきゃいけないことになっちゃったら、少しずつみんなで出し合おうね、という制度です。
 先ほど申しあげたブロックチェーンの技術が個人宅向けのご契約にも実用化されることになったら、お客さまは地元の発電所の電力を買うこともできるようになるので、エネルギーの地産地消にもなります。支払った電気代で自分自身が生活している地域の発電所を応援することができ、地元地域の再エネの発展にも、貢献できることになるのです。
 もし新たに発電所をつくって地元地域の雇用を生み出すことになったら、それは地元の就労支援ということにもなり、自分の電気代が「まちづくり」にも貢献できていることにもなるかも知れません。電気代は毎月必ず払わなければいけないお金なので、それが「社会のインフラ整備に貢献できればいいなぁ」と思っています。
豊田 安心・安全な社会をつくることが大事よね。安心・安全な生活のためには、再エネが良いわね。
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ここ2週、映画『シード』そしてこの鼎談と展開してきたENECT「特別寄稿」シリーズ、来週月曜も続きます。お楽しみに

 

(取材・文:鎌田京子)
2019.6.27 thu.


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