2018.11.20 Tue.

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アトリエDEF 八ヶ岳営業所にあるモデルハウス「循環の家 八ヶ岳」のリビングダイニング

  長野県を中心に関東、山梨エリア他で環境に配慮した「古くて新しいこれからの家づくり」を続け、「理論より実践」を体現するアトリエDEF
 一言で「再生可能エネルギー」と言っても、すべてが環境によいわけではない。来年以降FIT切れの電気が増え、そこで電力会社が初心を忘れず、取るべきであろう道の指針までいただいた、心に響くインタビュー。
 全営業所の電気をみんな電力に切り替えてくださったDEFさんのエネルギーへの想い、取り組みの根幹にあるものに迫った全3回記事の最終回、是非。
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大井 山をやってる立場からすれば、一番いいのはバイオマス発電です。日本にあるたくさんの使えない木を、ただ捨てるんじゃなくてエネルギーに換えるわけですが、そこにも問題が生じています。
   本来、バイオマス発電は未利用材を使用するはずだったのが、今は流行っているせいで間伐材が全部そちらにいってしまっています。それは家をつくる時の材料、原木までもがバイオマス発電に使われ始めて、その理由は「楽だから」です。だって、燃やせばいいだけだから(笑)。しかもお金にもなってしまう。そしてそのせいで、家の柱に使うはずだった原木が高騰しています。
 つまり、バイオマス発電のおかげで、どんどん山が苦しくなっていっている状況があります。
ーその時に、みんな電力のような会社ができることはあるのでしょうか?
大井 これだけ今会社が注目されてきて、そこで、差別化をして欲しいんです。
 今後みんな電力に持ち寄られる話は増えてくると思うんですが、その時に「メガソーラーとか、環境破壊をしている電気は買いません」ということをやって欲しい。今も気をつけてらっしゃるのは知っていますが、それがキチッと厳密にできたら、そこからみんな電力はもっと伸びるだろうと思います。
 そこがみんなの疑問符なんです。「そうはいっても、太陽光発電で環境破壊しているやつがいるじゃないか」ということになってしまったら、僕らもその電気を勧められません。だから、「みんな電力はそういった審査に合格した電気しか扱っていません」となって欲しい。
 だって、来年くらいからFIT切れの電気がたくさん出てきます。そうなるとたぶん、どんどん「電気を買ってくれ」とくるわけですよね。その時に、「厳しい審査を受けたものしかウチは買いません」とやった方が、「素晴らしい会社だなぁ」と、さらに人気が出ると思います。もちろん、これはあくまで僕個人の要望ですが(笑)。
 そうすると、僕らが選んだ発電所をみんなで応援できるし、そこが潰れることなどないように、みんなで支援していくことができる。そういう体制ができれば、太陽光パネルのメンテナンスもキチッとできますし、その上で環境も守れると思います。ただ、今のように節操のない日本人は、お金のために山を切り開いてしまうわけです。
 僕らは現場の山にいるので、それがよくわかります。ある日、昨日まで木があったところに何もなくなって、3日もすると太陽光パネルがバーッと並んでるわけです。それで一番嫌な想いをしているのは、東京から「自然の豊かなところに」とわざわざ家を建てて引っ越した方々です。その状況を目の当たりにして「これ、どうなの?」って。
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山口 何でも、「大丈夫ですよ」という一言で済まされちゃうことがあると思うんです。
 パネルのリサイクルにしても、パネルはそもそもいろいろな素材でできています。そういうものを一色単に産業廃棄物として引き取って終わりじゃなくて、もちろん「ゴミ」と「リサイクルできるもの」をちゃんと分けられていることを、教えて欲しい。最初の購入時にリサイクルのところまで説明をしっかりしてくださると、それは安心感に繋がり、お客さまも格段に導入しやすくなると思います。ソーラーパネルの設置することが悪いわけではないので、リサイクルまで含めた指針が見えると、気持ちよく選ぶことができると思うんです。
 そしてもちろん、太陽光発電だけがエネルギーを作っているわけではなくて、いろいろな発電方法があるので、それらを一つ一つしっかり知ることができる場があるともっと「再生可能エネルギー」の選択が広がっていくと思います。
ーご助言、ありがとうございます。仰られた「節操ない日本人」には、家を通じてメッセージは伝わっていますか?または、どのようなことが特に相手の心に響くでしょうか?
山口 自分たち自身の実践が、一番届くかもしれません。
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自然に寄り添う暮らしを伝えるイベントとして「田植え」を体験。みんなで泥んこになって植えたお米を、釜戸ご飯でいただく瞬間は格別です!

大井 僕はスタッフにもいつも言うんです。「机上の理論はやめようよ」と。大事なのは、「自分たちが泥まみれになって動くことだよね」と。机の上で議論を述べるのは学者さんの仕事で、「僕らはやっぱり身体で示そうね」ということでやっています。そして、それが信頼に結びついてきたのかなと思っています。
 僕らは話すこともしていますが、話すことよりも行動、実践を大事にしています。ウチでは女の子もチェーンソーで木を切りますし、畑を耕したり、釜戸でご飯を炊いたり、お客さんは僕らが日々やっているそういったことを見てくれているだけなんです。だから、ウチは数字だけはダメですよ(笑)。
山口 「見えない付加価値」じゃないですが、やっていることがパフォーマンスだけじゃなくて、実際の自分たちがやった中から得た知見をお知らせするようにしています。それがまさに「暮らしアドバイザー」の役割で、あまり畑をやったことがない方、都市部から移住された方に畑仕事を体験してもらって、「自分でもできる」と田舎暮らしへの安心に繋げていただければと取り組んでいます。
大井 面白いのは、同業者です。全国からウチに視察に来てくれるんですが、そういう人たちが地元に戻って帰った時に「長野県にはこういう会社がある」と話してくれるんですが、それは同業者の言葉だからこそ、より広がるんです。
 僕は「同業者はライバルじゃない」と思っています。同業者は巻き込んじゃった方がいい。よく「デフさんはいいですね」と言われるんですが、僕が「いいならやったらどうですか」と返すと「いや、勇気がなくて」、「大丈夫、勇気を出せばいいんです」って(笑)。
 同業者を変えるのが一番いいと思います。そうすることで、世の中が変わります。そこをライバルだと思って、「来ちゃいけません」なんて秘密主義でやると広がっていきません。
 今、それくらい僕ら自身に「自負していることがある」ということかもしれませんが、僕らはこのやり方を真似していただいても全然構わないわけです。世の中がよくなって、環境がよくなればいいわけですから。
 だから、みんな電力さんだけで世の中が変わるわけではなくて、みんなでやった方がもっと早く世の中がよくなるんです。僕はそう思っています。デフ一社がこんなことを頑張ったって、一千万人を変えるには大変です。でも、大企業が変わったら、話が早くなります。
 そうなってくれればいいんですが、もし本当にそうなったら、僕たちは必要なくなっちゃいますけどね(笑)。
 こういった活動を20年くらいやってきました。それで、自然素材の家が普及し始めました。もし僕たちがこれをやっていなければ、今でもそういう家づくりって非常に少なかったと思いますが、仲間は着実に増えてきています。
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みんなで餅をつき、しめ縄を作るなどするDEF恒例の年末イベント「オーナー様感謝祭」。毎年新しいオーナー様も増えて、とても賑やかな1日に

ー具体的にそういった手応えが感じられていること自体が、素晴らしいことです。
大井 「仲間が多い」ってかっこいいこと言ってますが、経営は苦しいです。だって一社の時は独占みたいなものだったので「こういう家ならデフに行こう」というのが、今は仲間が増えて、そうなるとお客さんは近所にある方を選んだり、それはそれで大変です(笑)。
 でも、目的はそこじゃないので「仕方ないかな」と思っています。目的は、そこじゃないんです。
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楽しい暮らしが垣間見える、開放的な玄関土間。外と内のあいまいな空間が心地よい居場所をつくります

 

ただ、表面的な「再生可能エネルギー」ではない、信頼に足る再エネ。そして、同業者との協業の姿勢。
全3回を通じて示唆と学び、そして実践を通じての説得力に溢れていたアトリエDEFさん。ありがとうございました

 

(取材:平井有太)
2018.10.4 thu.


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