2020.08.14 Fri.

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  みんな電力から、「ブロックチェーンを使った電力トレーサビリティを世界初で商用化します!」とうたったリリースが2018年の年末。次に、ブロックチェーンによる「電力取引とトレーサビリティシステムに関する特許を取得した」というリリースが今年7月。そして本ブロックチェーン記事初回に記した、処理速度は60倍になったし、トレーサビリティシステムを広く活用すべく、すでに電気以外にも土やバッテリーなど、いくつもの取り組みが控えているという内容のリリースが同月末のことだ。
 みんでん内で、日に日に存在感が増していくブロックチェーンシステム構築を牽引した飛峪(とびさこ)龍一さん、森本詢さん、鈴木雄介さんにの三名に集まっていただくと、話は技術的で専門的な方向で終始するかと思いきや、予想外な「ロック魂」溢れる展開。
 「ブロックチェーンは誰にでも可能性が開かれている」ことは、それこそサステナブルな社会を標榜し、「誰も置きざりにしない」SDGsの理念にまで通ずる?
 自分も含め、ブロックチェーンが何かをわかっていなくとも、その本質部分に何があるかが垣間見え、少なからず未来に向けてワクワクできる記事となったはず。
 まずは鼎談に参加したお三方のプロフィールを入口に、お楽しみください。
とびさこ写真

飛峪 龍一

1974年大阪生。Grid World合同会社代表。
小学生の頃からプログラミングに親しみ、アセンブラで書いたゲームソフトが雑誌掲載された事が自慢。専門学校で情報処理とコンピューターサイエンスを学び、社会に出てエンジニア/プロジェクトマネジメントを多数牽引。
2016年に暗号通貨と出会い、ビットコイン投資を歴てブロックチェーン技術に興味を持つ。海外ブロックチェーンホワイトペーパーの紹介記事を執筆し雑誌掲載複数。
後にブロックチェーン専門企業でエンジニア兼マネージャーとして開発従事、ブロックチェーン教材開発、ブロックチェーン大学校の講師担当、海外ブロックチェーン実証実験参加、ビットコイン取引所アプリ開発参加等を経て、みんな電力プロジェクトに参画。
みんな電力ブロックチェーンチームと共にスケーラビリティー問題解決に従事する。
ブロックチェーンハッカソン「Decrypt Tokyo 2019」優勝

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森本 詢

1990年東京生、日本大学第三高校、京都大学農学部卒業。
2013年から2018年までコンサルタントとして国内の企業の組織開発、事業開発の支援に従事。インダストリー4.0のインパクトの大きさに危機感を持ち、グローバルな開発者コミュニティの東京ブランチ立ち上げに参画。
コミュニティの技術者との会話の中でサイファーパンクのメーリングリストのことを知り、技術者の描いた世界観が、40年後に現実のものになってきている事実に衝撃を受けてブロックチェーンの世界に興味を持ち、ブロックチェーンエンジニアにジョブチェンジ。
現在はみんな電力のブロックチェーンチームで開発業務に従事している。

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鈴木 雄介

1985年静岡生、静岡県立農林大学校卒業。
園芸店・生花店勤務を経て12年前にシステムエンジニアへジョブチェンジ。3年前に、当時関わっていたシステム案件を通し再生可能エネルギーへ興味を持ち、みんな電力へJoin。
現在はシステム案件の立ち上げ支援やシステム部メンバーの後方支援を行う。

ーーここまで、現状をひっくり返すポテンシャルを秘め、いち早く未来にも触れられるブロックチェーンというお話でしたが、長い間携われてきて、同じ想いでしょうか?
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飛峪 私は2016年末にBitcoin(ビットコイン)に出会って、17年にかけてブロックチェーン技術の勉強をし始めたんです。最初の入りは、友人からの怪しい「儲かるで!」という勧誘でした。「ウソや、ボケ!」と言っていたらその友人がやたら儲かって、私も遅れて参入したものの、その友人ほどの儲けにはまったく至りませんでした(笑)。
 ただ、実際にやりながら調べていくと、UXが本当に使い辛くて、管理も自分でしないといけなくて、「こんなものの一般浸透なんてまだまだ先」だなと思いました。それで逆に興味を持ち、「その部分を改善できるようになろう」と思って、そこからブロックチェーンエンジアリングを本格的に学び出したんです。
 Bitcoinは100万円を超えました。世間は常に、アーリーアダプターが飛びついているものに対して懐疑的ですが、今後はそれが最終的にレイトマジョリティとなる路線には入ったことを感じます。つまり、みんなが疑心暗鬼している間こそが飯のタネなんです(笑)。
 世間一般に、開発したものがPASMOとかICOCAみたいになったらそれは便利だれども、エンジニアリングとしては完成したものです。そうなっては、それを自分自身の技術の付加価値として繋げていくには遅いんです。
 そういう意味では黎明期の今こそ、仮想通貨の金銭的価値の上昇も目の当たりにしたし、UIやUXは未だにまだまだですが、それでもどんどん良くなっていっているのを見てきています。エンジニア視点としては、「これからもっと伸びるな」というワクワクを感じ続けています。
 海外での事例は本当にとんでもなくて、特に現状一番強いのはカジノ事例です。ゲームとカジノ業界でのブロックチェーンの広がりは、すごいです。
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鈴木 「マネーロンダリングに使われている」という話もありますね。
飛峪 現実、あると思います。この話はとどのつまり、ブロックチェーン経由でマネーロンダリングされてしまうと、税金がとれない。行き着くところはすべてそこです。
 最近はSBIホールディングスも、R3社のプロジェクトでRipple(リップル)関係のチェーンをずっと使って、世界への国際送金の金額がグッと下がりました。
 100億円の送金は、PayPalを使うと手数料が3億円かかります。それを3%という風に考えると理解できるんですが、3億という金額そのものは大きい。でもそれをBitcoinで送信すると、1000円ほどなんです。差は歴然としています。
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 そこが本当の(既存システムを)破壊する部分です。今までは利権でとれていたものが非中央集権化され、集中して管理する組織がいなくなったので、テラ銭を抜かなくともよくなった。だからこそ国家は警戒を強めているし、資本力の弱い個人にとっては、むしろメリットをどんどん享受する環境が整いつつある。その意味での平等は実現し、ある部分の格差は縮まり、しかしそのノウハウがある人とない人の格差は広がってしまう、そういった構造ができつつあります。
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森本 広がりにおいて、自国の通貨をまったく信用ができない国に住んでいる人たちはたくさんいます。ブロックチェーンはその人たちにとって可能性溢れるプロジェクトであるという反面、政府の立場や銀行にとって、日本で言えば日本銀行が通貨の発行権を所持して経済統制をしていたところ、BitcoinやEthereum(イーサリアム)といったプレイヤーたちにその権利を持っていかれてしまうということが起きえます。
 今はそれが国際的に危ないことだということで、かなり止められています。フェースブックのLibra(リブラ)も潰されそうですし、僕らが使っているStellar(ステラ)も、つくられた目的はLibraと同じようなプロジェクトです。
ーやっている人間が特定しやすいと、潰されやすくもある。
飛峪 出る杭は打たれていますね。
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森本 でも、「そんなに失望しなくてもいい?」というポイントもあります。先ほどマネーロンダリングの話は確かに事例もたくさんあるんですが、追跡もかなりできるんです。そしてそれは、ブロックチェーンこその利点でもあります。
 だからそこで、悪いことでもいいことでもしようとする場合、最近の例ですとSNSで匿名ですごい書き込みをして他人を傷つけておいて、苦しめた後に必死に自分のコメントを消す層がいるじゃないですか。ああいう連中が一度コメントを書き込むと、もう「書き込んだ」という事実は消せなくなるんです。
ー「透明性の確保」、「事実を残す」ということに関して、ブロックチェーンは長けている。
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森本 「公平性」がロジックでガチッと固められているので、例えばそれが政府案件であっても、国をあげて予算を投じて、それでも捻じ曲げられないというものなんです。
 ただ一方で、息苦しいかもしれないという側面もあります。また、今まで無料な代わりに情報を吸い取られていたのが、イチイチお金がかかってくるということにはなるかもしれません。
飛峪 2018年の、いわゆる「出川組」と呼ばれる、CMで出川氏が「ビットコイン!ビットコイン!」と叫んでウワーッと皆さんが殺到して、Bitcoin女子なる人たちまで現れ、数億円儲かったと思ったら2ヶ月後にはドカンと落ちて大騒ぎということがありました。
 国税局も当時は素人だったでしょうが、あの頃から比べて、Bitcoinはちゃんと突き詰めて自動化スクリプトを組んでしまえば追跡はできるというところまで、レベルが高まったと聞きます。
 「ちゃんと追跡できる」、「税の取り逃しはない」、「じゃあ承認しよう」という段階までは至ってきたと思います。
 なるべく透明で、アメリカや日本の「国税局が税金の取り逃がしをしないで済むようなブロックチェーンのみ、活かしていこう」という、大きな流れになりつつあります。最初は全排除だった方向性が、今は税金を取れる暗号資産は(取引所に)残るようになりました。
(注釈 ※ 仮想通貨取引所には多数の暗号資産が登録されているが、好ましくない暗号資産は次々と取引停止となっている)
森本 世界中で、納税なんかにもブロックチェーンの導入が進んでいますよね。
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飛峪 アメリカなんかは面白くて、マフィアからBitcoinを徴収したら政府がオークションで売って、換金して国庫に入れるみたいです。政府が透明性も理解し扱い方も学んだから、まさに「Bitcoinとは仲良くしていく」という路線に変わったことがよくわかります。もう、切っても離れない関係のはずです。
ーここで鈴木さんに伺いたいのですが、みんな電力のそもそも肝となる2つのキーワード「分散化」と「透明性」が出てきました。みんな電力とブロックチェーンの関係を少し俯瞰して見ている立場から、どう感じていますか?
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鈴木 まず「透明性」という部分で話せば、みんでん料金プランのそれは高く、また、そこを売りにもしています。それは需要マインドとマッチしている、よい部分と思います。
 また、普通何かの売買をしたい場合、それを目的としたプラットフォームがあって、そのプラットフォームがそれぞれサービスごとにあったりします。
 でもその行為を、「企業で共通」とか「日本で共通」レベルではない、今後「世界で共通」としてサービスを展開させていく、本当に世界をターゲットにできる可能性を感じています。
ー純粋な電力供給だけの会社であれば国内展開しかないのが、ブロックチェーンによってグローバル企業となるポテンシャルを持てる。
鈴木 そしてそれだけに、透明化はすればするだけ、そこに本当の価値がないといけない。だってそれこそ先ほどの話だと、Bitocoinであれば手数料は1000円で済むわけです。
 つまり、今後納得感が得られないような支払いや送金はどんどん排除されていく。お金をいただくからには、そこにそれなりの価値がないといけなくなるというか、今までの「手数料はそれなりにかかる」、「まあ仕方ないよね」という認識が崩されてきているんです。
ー本当に価値がないと誰もお金を払わなくなり、当然のように中抜きをする会社がいなくなるのは、普通に考えるといいことに思えます。そしておのずと、それによってコンテンツの価値が余計上がっていくと、、
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鈴木 みんな電力としても、今後よりそういった部分を通しての納得感を、お客さまに対して伝えていかないといけなくなります。でもそれって、つくる側もそこを頑張ったら頑張った分だけ報われて、対価や手応えがわかりやすいので、仕組みとして魅力的だなと思っています。
ー「エネルギー」にブロックチェーンを活用するアイディアを、どう思いますか?
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飛峪 私の場合はエンジニア叩き上げで、森本さんのようなコンサル、グローバルな経営視点ではなく、シンプルに「使う側の視点」で見ています。そうすると、まず「ちょうどよく使えるのでは?」というのが一つありました。
 特にP2P(Peer to Peer)、つまり「電力の融通」ということであれば、確かドイツの事例で、電力P2Pについて規制の法案が出ていたかと思います。その透明化について、特に「ブロックチェーンを使え」と言明しているわけではありませんが、P2Pで取引するのであれば、その記録台帳を開示しなければならない。なければ法律違反であると。
 「であれば、ブロックチェーンじゃないか」と、まるであらかじめそのために用意されたツールがブロックチェーンであるようなことになっています。
ー日本もぜひ活用していただきたいですね(笑)。
飛峪 ですから、国際的な流れとしてはすごく自然で、法規制の要求に応じてソフトを実装しようとした時、実現のためのツールとしてブロックチェーンは機能します。つまり、透明性と「改ざんできない」という特質が、とてもマッチしていたので「あ、それは自然な流れだよね」という感覚でした。
 2009年から続く、ビットコインのブロックチェーンがまったく問題なく動き続けて、改ざんもされていなくて、この歴史的な経験則、実績はあらゆる企業が採用できるはずなんです。技術側からしてみれば、「電力に限らず」ということです(笑)。
ーそれだけの強度が証明されてきた。
飛峪 しかも、法律規制的にも「開示せよ」と言われているのならば、「ちょうどいいじゃないか」というのが第一印象で「そうか、ブロックチェーン使うんか。協力しよ」というノリでした。ここはエンジニア寄りなのか、コンサル的な経営寄りなのか、そこに考えや捉え方の違いがあると思います。
 ですから、いつでも「ブロックチェーンを使って」と言われれば、手の内のカードの中で「最適なものを使いますよ」という立場として、こんなに便利なものがあるんだから、その気さえあれば協力させていただこうと、そうやって参画させていただいた流れです。
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森本 最初は正直、みんな電力という電力会社がブロックチェーンを使うという風に聞いて、多少なめていました(笑)。何に使って、どう使っているかもわからず「記録に使っている」という話だけ耳に入ってきて、「電気が流れた記録なんかとって誰が喜ぶんだろう?」と思っていたんです。
 それまで、自分が使っている電気がどこから来ているかなんて、まったく考えていませんでしたので(笑)。
ーそれが普通だと思います(笑)。
森本 ここに来て、いろいろ話を聞いて、環境投資家やESG投資という知らなかった登場人物、概念があることを知りました。また、最初にこの会社にブロックチェーンを持ち込んだ方は、「電力業界を変えてやろう」という想いが強く、そこに対して一直線にブロックチェーンを使っていました。実際に日本では、率先して自社製品にブロックチェーンを使っている企業はそんなに聞きません。ですので、その会社のエンジニアチームに入れるのであれば「ぜひ、やってみたい」という想いがありました。
MVIMG_20200731_160400 最後の写真は、「毎日助ける」”まいける”の中に入ってみた飛峪さん。実際、ブロックチェーン技術で助けてくれました。
予想外の熱を帯びたブロックチェーン鼎談、大団円の最終回は17日(月)。お楽しみに

 

(取材:平井有太)
2020.07.31 fri.


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