2020.08.06 Thu.

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新なムーヴメント「オーガニックシンジケート」について、熱く説明してくれた小澤さん。(*メイン写真)宣言は韻を踏み、メンバーは豪華。フレッシュ!

  松戸で20年もの歴史を刻んできたスローコーヒー。しかもその歴史は、日本におけるオーガニックやフェアトレードの、決して平坦ではない歴史とも重なります。しかしその道を軽やかに、若さを武器に、ヒップホップカルチャーから受けたという影響と共に歩んできた小澤さん。上の世代が切り拓いてくれた道を歩みつつ、ご自分なりのやり方で、時代にあった「戦わない」方法論も確立してきました。
 大きな節目を迎え、新しいけれども言葉の響きは一聴すると物々しい「オーガニックシンジケート」の始動や、ダブルローカルを実現させた松戸ともう一つの地元、岐阜県は郡上(郡上)での仕掛け「水出しプロジェクト」など、スローなだけではできなそうなプロジェクトも目白押し。
 最後には「グリーンインフラ」を中部地方に確立したいという野望まで飛び出したインタビューは、終始笑顔に溢れながら、ついに最終回を迎えました。読んでくださった方々の、日々の笑いと、もし新なことに挑戦しようとしているのならその燃料として、記事が機能してくれたらと願います。
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インスパイアされたもの:
(右から)広島原爆記念館、ジョン・レノンと「イマジン」の歌詞、ボブ・マーリー、チェ・ゲバラ、とある商品段ボール箱に書いてあった文言

ーそもそもはコーヒーの発端もそうですし、ジブリのセリフにインスパイアされたり、軽やかに様々な要素を取り入れることが得意なように感じます。
小澤 パクるのは大好きです(笑)。「サンプリング」って、そこにもヒップホップ精神が活きていると思います。でもそれって、食文化なんかに顕著ですが、日本人の国民性でもあるんじゃないでしょうか。
 それから、やはり僕はこう見えてもナモケモノ倶楽部仕込みの「ド」エコなので、早くから動けたんじゃないかなと思います。
ーもともと何らか運動をやられてきた還暦過ぎの方が多いイメージのフェアトレードやオーガニックの世界で、お若いのに、何かと動きが早いということも感じます。
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小澤 最初のとっかかりがナマケモノ倶楽部ですし、当時はフリーターになった時点で「あいつおかしくなったんじゃないか」って言われてました(笑)。まわりはみんなそこそこの会社に入っていったんですが、僕はそこにすごい違和感があったんです。もともと勉強なんかしなかったし、高校から大学から遊んでばっかりだった奴らが、大学3年になったらみんな普通に就職活動するのが不思議というか、違和感しかなくて。
 僕は本当に、やりたい仕事が見つからなかったんです。
 それはみんなも同じだと思っていて、僕は「なんで普通の顔して会社に入っていけるの?」、「やりたいの?」みたいなつもりだったのに、逆に「おまえはなんで就職活動しないの?」ということを言われて。
 でも、MTVのVJだけ受けて面接まではいけたんですが、そんな唯一の就職活動も結局のところダメで(笑)。それ以外にやりたいことはなかったので、2年くらいフリーターでフラフラして、NYのハーレムに1ヶ月間くらい滞在したりウッドストックまで行って「あぁ、なんか感じる!」みたいな(笑)。
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設立当初にエントランスにステンシルされた最初のSLOWロゴ

 そんな時とナマケモノ倶楽部の立ち上げ時期が重なって、辻さんから連絡もらって、それが最初の話の、一番最初の会合に繋がっていくんです。
 フリーターとしても月30万弱くらいは稼いでていて、「暮らしていけるな」ということはありつつも「これじゃあ家族を養えないな」というのがありました。とはいえ、やりたい仕事はないまま、自分の中では「いつか見つかるだろう」ということと、「いつ見つかるの?」ということがずっとせめぎ合っていて、そんなタイミングでナマケモノと会社設立の話があったんです。
 当時身の回りで起業なんて話はなかったですし、彼女にも相談して、彼女はアパレルショップの店長だったんですが、自分が消化もできていない拙い言葉で「アパレル業界こそ大量廃棄や環境破壊だ」みたいなことを言ってしまってケンカになったり、苦い思い出です(笑)。
ーそれが今や、「オーガニックシンジケート」なるものを形成するものにまでなられた。
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小澤 これもICE Tさんや日本からもDJ YUTAKAさんが参加されていた「ライムシンジケート」からきています(笑)。自分が20年間オーガニック業界やアースデイに関わってきて、同世代かつ10年選手みたいなプレイヤーが増えてきたんです。
 彼らは、僕からすると「戦わない世代」です。だから、その世代なりの発信ができるんじゃないかと思っています。
 皆でやりたいことは、オーガニックやフェアトレードの本質的なことを伝えたい、守りたいということです。そしてそういう人たちが集まって、今「オーガニック」って一応は広まったけど、「お金のある、余裕ある人たちのものでしょう?」という印象も強い。でも、「そうじゃないんだよ」と。
ーいつ頃結成されたんですか?
小澤 それはそれこそ、このコロナ騒動の最中です。僕がみんなに呼びかけました。ちょっと前から似たようなメンバーで集まる時、”仮”で「これってシンジケートだよね(笑)」くらいの話はしていて、この騒動の中、本気で呼びかけたんです。
ー人類の環境破壊を経てコロナが出てきたというのがもうほぼ定説で、そこの意味合いもあったんでしょうか?
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小澤 必ずしもそこまでは考えていませんでした(笑)。僕はたぶん、そういうコンセプトを考えるのは下手なんですが、一番は「このメンツと何かやりたいな」ということでした。
 メンバーそれぞれとは付き合いも長くて気心も知れているし、もともとは「コロナどうする?」とか意見も聞きたくてオンラインで話していたんです。これだけそれぞれのフィールドで活躍しているメンバーが揃っているなら、ちゃんと「プロジェクトをつくってやった方がいいんじゃないか」という意見も各所から出て。
 ですので、これからはオーガニックシンジケート印の商品をつくっていって、もうすでに新しいお店なんかからの引き合いもあります。そうやって面白がってくれるところにモノを売ったり、オンラインも今や普通なので、そちらでの展開もあるかもしれません。
ー特に大きな、皆さんで共有できている問題意識は何になりますか?
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郡上発水出しプロジェクトのロゴ。郡上のきれいで美味しい水と、それを暮らしの中で守ってきた郡上の水文化を伝えるプロジェクト

小澤 それはやはり、気候危機についてじゃないでしょうか。
 僕にはもう一つ、自分自身の取り組みとして、岐阜県郡上(ぐじょう)のことがあります。コーヒーは水がないと飲めないものですが、これは辿ると原発事故の直後、江戸川から放射能が出て水が飲めなくなったんです。その時郡上にいる義理の父が、山水をタンクに汲んで送ってくれて、その時に「助かった!」という感覚にすごい実感がありました。
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小澤氏の自宅@郡上近所を流れる川。川底の石まではっきりと見え、6月にはホタルが舞う

 「こんなことが現実に起きるのか」と、水の大切さを痛感しました。それまで僕らはオーガニックやフェアトレードについて、コーヒーを通じて伝えてきたんですが、そこに「水」が加わりました。やっぱり「水についてもコーヒーを通じて伝えたい」ということで、郡上から「水出しプロジェクト」を始めたんです。
 そこで僕は、ビジネスを脇にちょっと置いて、人間として根源的な、大事なものを表現したいと思っています。
 郡上にある家の前は、本当にめっちゃいい里山風景です。向こうに家を建てて、地元の松戸では実家に厄介になる豊かな二重生活を続けています(笑)。
ーそれもまた、今話題の二拠点生活とかダブルローカルみたいな、理想とされる生活の先駆けですね。
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郡上の小澤氏の自宅前には、里山の風景が広がる。都市部では考えられない贅沢

小澤 確かにそれも言われます(笑)。「理想のやつじゃないですか」とか言われて、「そんないいものなわけないだろ」って、とはいえ、この生活ももう5年になります。もともとは放射能がきっかけでしたが、今はそういった云々も抜きにして、子どもたちにとっても自分にとっても、「移ってよかった」と思っています。
 本当は郡上で、「水の保全」ということまでを最終的にやっていきたいんです。あとは「”グリーン”インフラ」をやりたい。コンクリートに固められた「”グレー”インフラ」に対して、名古屋圏の人たちが畑や田んぼに週一で来れるような、そういうグリーンインフラをつくりたいと思っています。
 グリーンインフラは東京だと、主に小倉崇さんという方がやられています。古くから渋谷にいる悪いオジサンみたいな方が、ライブ会場「ON AIR EAST」の上で畑を始めて、渋谷と山梨を繋ぎ、すでに400人くらい会員がいる。そうして実際に、結構な数の若い人たちが土に触れに山梨に足繁く通うという、「UFC=アーバン・ファーマーズ・クラブ」ということが起きています。
 コロナの後はみんなに無料で種を配ったりして、率直に「素敵だな」という活動です。
ーとなると、そこもうまくサンプリングして、、
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小澤 そうですね(笑)。でももう会いに行って、一番簡単なのは「UFCの名古屋支部をつくろうか」という話や、逆に郡上の水については、「関わりたい」と仰ってくれています。
 もともと僕にとってコーヒーは本当に「たまたま」でした。だから僕としては、伝えたいことが伝わることが重要なんです。コーヒー屋から始まったコーヒー稼業じゃないからこそ、できることをやっていければと思っています。
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20周年の節目のSlow Coffee記事、ついに最終回。本当に、おめでとうございます!来週月曜からは、新記事がはじまります

 

(取材:平井有太)
2020.06.30 tue.


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