2018.11.13 Tue.

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アトリエDEF・関東営業所にあるモデルハウス「循環の家 前橋」のリビングスペース

  「環境が一番。環境を守りたい」という想いと共に、自然と調和し、溶け込む家づくりを続けられているアトリエDEF。「東京の人たちを洗脳しにきました」と笑う大井代表取締役と、同社の小島氏、山口さんの話は続く。
 できあがった家で使用する電気だけでなく、施工の現場で使う電気から再生可能エネルギーにすることはできないか?
 みんな電力の力不足を指摘されると同時に、発電を始める上でも慎重な、長く真摯に自然環境について考えてきたからこそ湧いてくる懸念と疑問。
 安全安心を考えるからこそ話題が電磁波にまで及んだ、示唆に富む全3回記事の第2回。
ーみんな電力については最初、どのように知られたんですか?
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大井 最初は、BIO HOTEL JAPANさんの紹介でした。
山口 BIO HOTELというホテルはヨーロッパで発足した世界で唯一の厳しいオーガニック基準を規定とする「ビオホテル協会」が認定したホテルのことで、持続可能なライフスタイル、サステナブルな生活に先進的に取り組んでいます。その考え方を日本でも普及したいと発足されたのが、BIO HOTEL JAPANです。そして、その方々が私たちの事業もそうですし、みんな電力の取り組みにも共感いただいていて、いろいろな方を繋げるハブ的な役割を担ってくださっています。
 その中で「デフさん、電気のことはどう考えてらっしゃいますか?」と質問をいただいて、私たちは「探してはいるけれど、『これだ』というところに出会えていません」とお伝えしたら、紹介くださったのがみんな電力でした。
ー実際に知ってみて、みんな電力の提唱する「顔の見えるでんき」や、「選ぶのは皆さんです」という姿勢は、いかがでしたか?
大井 そこが一番大事なところでした。「顔が見える」ということは、僕らが家づくりで大事にしているトレサビリティと一緒なんです。家づくりの素材の先、それがどこの山で生産者が誰なのか、履歴がわかるものしか使わない方針でやっています。
 それが今回、電気でも見えたわけです。「ここまでちゃんと見えてるんだ」という、本来皆さん隠したがる部分を見せていて、素晴らしいと思いました。
ーデフさんの視点から、トレサビリティの重要性はどんなものでしょう?
大井 やはり、「環境」といえども僕らもこれはビジネスです。そしてビジネスというものは、責任を持たないといけません。その責任はまずクライアント、お客さんに対してであって、それがおのずと、我々の建築の素材であったりつくり手としての責任となっていきます。
 それは電気でも同じだと思います。
 もともとの大きな中部電力や東京電力などがありますが、そこで起きることに僕は責任がとれません。ですから、生産者が見えて仲介者がいて、使う者がいてという流れがあってはじめて、責任を持って商品を紹介できるんです。だって自分が自信を持てないものを、紹介できないじゃないですか。
 電気についてはもちろん、僕は水に対しても想いがあります。僕は水道法というものにも疑問を持っている人間なので、水もどこの山からきて、どういうルートで、何が入っているかも明らかじゃないと信用できません。とはいえ今、その水道法を僕らが破れるわけではないので、苦慮していますけれど。
ーお客さまに対して、使う電気の提案もしてくださっていると聞きました。
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                     青々とした緑に囲まれたアトリエDEF 八ヶ岳営業所と野菜畑

大井 はい、そうしています。でもそれはあくまで僕らからの提案であって、選ぶのはお客さんです。
 家をつくらせていただくと、最後にお引き渡しという日があります。
 さらにその前に、「暮らしアドバイザー」という役割のスタッフからの軽い説明もありつつ、引き渡し時に「こんな選択肢もあります」ということで、みんな電力のパンフレットを出しています。「ここは一緒に活動している電力会社で、ご自宅で使用する電気を再生可能エネルギーにしませんか」とお話させていただいて、結果うちのお客さまのほとんどが、切り替えをはじめています。
ーそもそもデフさんのお客さまには、再エネを好む方々が多そうです。
大井 そうですね。「切り替えはいつできるんだ」と待ち望んでいる方もいました。
ー会社の内外で、エネルギーの取り組みについては、いろいろ意見は出ましたか?
山口 弊社では、スタッフ全員が集まって二ヶ月に一度ほど行う会議があり、会社の電気をみんな電力に切り替える前に電力の勉強会を実施しました。その時にスタッフからいろいろな質問があり、現場監督のスタッフから、「施工の現場で使う電気もみんな電力のものを使えないか?」というアイディアがありました。
 理想としては、建築の工事で使う電気もすべて再生可能エネルギーでやりたいという想いが強くあります。もしそこからやれるとなると、会社の事業として、使用している電力を含めたすべてを持続可能な、環境負荷のないものでできることになります。「そこまで徹底してできたらいいな」という意見も出ていました。でも、それはまだ難しいということで(笑)。
ーみんな電力の企業努力が必要です、、!
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住宅街の一角にある開放感あふれる住宅。大開口の窓と広い軒先きのある縁側が、家の中と外の居心地の良い曖昧な境界を作っている

山口 そういったアイディアは、現場だったり設計、暮らしアドバイザーという、それぞれが携わっている仕事を通じて出てきます。また、そういった意識の高いお客さまも多いので、今度はそれこそお客さまからも新たな意見や提案が出てくるかもしれません。
ーそういった先で、「自分たちで発電もしましょう」という話は出てこないんでしょうか?
大井 うちはオフグリッドの提案もしています。それは家全体じゃなくて、災害時に一部屋だけ電気がついてコンセントが使えるというものですが、再生可能エネルギーで一番身近なのは太陽光だとは思うんです。
 その時に、うちはやはり「安全安心な家づくり」ということが大事ですので、電磁波の問題が実は出てくるんです。そことの闘いが今始まっていて、電磁波対策をやっている会社との提携も考えています。今度は、家全体に電磁波がない家もつくっていきたいので。
 例えばとても危険とされていたIHも、今の国産のIHだと、ほとんど電磁波も出ません。昔とは状況が変わってきていて、以前IHは輸出していなかったのが、今はほとんどが輸出です。そうなると、IHもヨーロッパ基準にしないと買ってもらえないので、今はずいぶん改善されています。
 ただ、電磁波過敏症の方もいらっしゃって、スマートメーターがダメな方や、「LEDのライトがダメです」という方もいます。当然その度合いも人それぞれなんですが、そうやってダメなものを逆にお客さまから教えていただくこともあります。
 とはいえ、やはり仙人みたいな暮らしを勧めるわけにもいきません。ですので、その辺はいろいろな方の協力をえながら、うまい着地点を模索していかないとなりません。
ー発電まで、なかなか簡単な道のりではないのですね。
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小島 発電への欲求はずっとあるんです。でも同時に、そこにある相反する部分について考えています。
 例えば太陽光発電は、今はまだ売電を目的に設置する考え方が主流なので、同じように太陽エネルギーを利用したものならば、自分たちがつくって使える太陽熱温水器の方がいいんじゃないか、とか。でも今後、安くて高性能な蓄電池が出てくれば、ダイレクトに自分たちでつくった電気を使えるようになっていいのに、とか。そうなればイニシャルコストの問題もクリアできそうとか、そういう話は会社でよくしています。
山口 あとはパネルの、廃棄した先の問題というものがあります。メガソーラーによる自然破壊の問題もよく耳にしますので、電磁波よりも環境に対して、ソーラーパネルそのものにあまりいい印象を持ってらっしゃらない方もいらっしゃいます。
 そこがクリアになっていないと、私たちからオススメすることはしません。
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縁側に座布団を出して、一家団欒をする家族。目の前に広がる庭と山の景色の一体感が安らぎを与える

 

電力を供給する側にも学び溢れるアトリエDEF、全3回記事の最終回は11/19(月)の公開です

 

(取材:平井有太)
2018.10.4 thu.


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